2026/11/01
相続した不動産は、亡くなった方の名義のままでは売却(買主への引き渡し)ができません。買主に名義を移す登記は、登記簿上の所有者からしか行えないため、先に相続登記で名義を相続人に変える必要があります。基本の順番は「相続人の確定 → 遺産分割 → 相続登記 → 売却活動 → 売買契約・引き渡し」です。
この記事では、名義変更と売却の順番、遺産分割がまとまる前に売りたいときの進め方、相続人が複数いる場合の売り方と税金の注意点を、足立区中川で不動産の売買・相続相談をお受けしている三敬商事株式会社が解説します。
亡くなった親の名義のままで、不動産は売れる?
売れません。不動産を売るときは、売主から買主へ所有権を移す登記をしますが、この登記は登記簿上の所有者から行う必要があります。亡くなった方は売主になれないため、相続登記で相続人の名義に変えてから売ることになります。
査定の依頼や売却の相談は、名義変更の前でもできます。名義変更が必要になるのは、買主に引き渡して所有権を移すときです。そのため、実務では次の2つを分けて考えます。
| 段階 | 名義変更前にできるか |
|---|---|
| 査定・売却の相談 | できる |
| 不動産会社との媒介契約・売り出し | 相続人全員の合意があれば、登記と並行して準備できる場合がある |
| 買主への引き渡し・所有権移転登記 | できない(相続登記が必要) |
相続登記は、2024年4月1日から義務になっています。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に申請が必要で、正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります(法務省「相続登記の申請義務化について」)。義務化の内容は、次の記事で解説しています。
▶︎関連記事:相続登記の義務化とは|期限・過料・売却前に済ませるべき手続きをわかりやすく」のURL】”>相続登記の義務化とは|期限・過料・売却前に済ませるべき手続きをわかりやすく
相続登記と売却は、どんな順番で進める?
「相続人の確定 → 遺産分割 → 相続登記 → 査定・媒介契約 → 売買契約 → 引き渡し」の順番が基本です。相続登記を先に終えておけば、買主が見つかってから慌てることがありません。
それぞれの段階で行うことは、次のとおりです。
- 相続人と財産を確定する:遺言書の有無を確認し、戸籍で相続人を確定します。
- 遺産分割で、誰が不動産を受け継ぐかを決める:遺言書がない場合は、相続人全員で話し合い、遺産分割協議書にまとめます。
- 相続登記をする:決まった内容にもとづいて、不動産のある地域を管轄する法務局に申請します。
- 査定を受け、媒介契約を結ぶ:売却価格の目安を確かめ、売却を任せる不動産会社を決めます。
- 売買契約を結ぶ:買主と条件を合意し、契約を結びます。
- 引き渡しと所有権移転登記をする:代金を受け取り、買主へ名義を移します。
相続登記には、戸籍の収集などで時間がかかることがあります。本籍地が何度も変わっている場合や、名義が祖父母のままになっている場合は、売り出しの時期から逆算して早めに準備を始めましょう。
売却までの期限や費用を含めた全体の流れは、次の記事で一覧にしています。
▶︎関連記事:相続した不動産の売却|手続きの流れ・かかる期間・費用を一覧で解説
相続登記が終わる前に、売却の準備を進めてもいい?
相続人全員が「売る」ことに合意しているなら、相続登記の手続きと並行して、査定や売り出しの準備を進めることはできます。ただし、引き渡しの日までに相続登記を確実に終えられることが前提です。
並行して進めるメリットは、売却までの期間を短くできることです。一方で、次のような点に注意が必要です。
- 誰が売主になるのか(誰が相続するのか)を、売買契約の前に決めておく
- 戸籍の収集に時間がかかり、引き渡しの日までに登記が終わらないおそれがないか確認する
- 相続人の中に、売却に反対している人や連絡が取れない人がいないか確認する
とくに、相続人の1人でも反対していると、売却そのものが進みません。先に買主を探してしまうと、契約や引き渡しの段階でトラブルになるおそれがあります。
当社では、相続の手続きと売却を見通して、どの段階で何をするかの段取りからご説明しています。顧問契約先の専門家と連携して、相続に関するご相談にも対応しています。
遺産分割がまとまらないうちに売りたいときは?
遺産分割の前に売る方法として、相続人全員の名義(法定相続分)で相続登記をしてから、全員が売主になって売る方法があります。ただし、売るには相続人全員の合意と協力が必要です。
法定相続分による相続登記は、相続人のうち1人が申請人になって申請することもできます(法務省「登記申請手続のご案内(相続登記②/法定相続編)」)。ただし、この登記をしても、不動産は相続人全員の共有のままです。売るときは共有者全員が売主となり、契約や引き渡しの手続きに協力する必要があります。
遺産分割の方法と売り方の関係を整理すると、次のとおりです。
| 分け方 | 内容 | 売るときの売主 |
|---|---|---|
| 1人が相続して売る | 遺産分割で1人が不動産を相続し、その人の名義で売る。ほかの相続人には代金の一部を渡すなどして調整する | 相続した1人 |
| 共有で相続して売る | 相続人全員(または複数人)の共有名義にして売り、代金を持分に応じて分ける | 共有者全員 |
| 代表者名義で売って分ける | 遺産分割協議書に「売却して代金を分ける」と定め、代表者の名義で売る | 代表者 |
代表者の名義で売る場合は、遺産分割協議書の書き方によって、税金の扱いが変わることがあります。協議書を作る前に、税理士や司法書士に確認しておくと安心です。
なお、「相続人申告登記」は、自分が相続人であることを法務局に申し出る手続きで、名義は変わりません。相続登記の義務を果たす方法の1つですが、相続人申告登記だけでは不動産を売ることはできません。
相続人が複数いる場合、売却の税金は誰が申告する?
売却で利益が出た場合は、売った時点で不動産を持っていた人が、それぞれの持分に応じて確定申告をします。遺産分割の前に売った場合は、原則として法定相続分に応じて申告します。
国税庁は、遺産分割が決まっていない不動産を売った場合の申告について、次のように示しています(国税庁 質疑応答事例)。
- 売る時点で代金の取得割合が決まっている場合は、その割合に応じて申告する
- 売る時点で取得割合が決まっておらず、後日分割する場合は、原則として法定相続分で申告する
- ただし、確定申告の期限までに代金を分割し、相続人全員がその割合で申告すれば認められる
- 法定相続分で申告したあとに代金を分けても、原則として申告をやり直すこと(更正の請求など)はできない
相続人どうしで「誰がいくら受け取るか」を、確定申告の期限までに決めておくことが大切です。
名義変更の前に、売ったり処分したりしてはいけないケースは?
相続放棄を考えている場合は、放棄の手続きが終わるまで、不動産を売ったり処分したりしないでください。財産を処分すると、相続を承認したものとみなされ、放棄できなくなるおそれがあります。
相続放棄は、自分のために相続が始まったことを知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ申し立てる必要があります。亡くなった方に借金やローンがありそうな場合は、売却の相談より先に、負債の有無を確認しましょう。
また、空き家の3,000万円特別控除を使いたい場合は、相続してから売るまでの間に、貸したり住んだりすると特例が使えなくなります。名義変更を待つ間の使い方にも注意が必要です。
家財が残ったままの実家でも、名義変更と売却をまとめて相談できる?
ご相談いただけます。当社では、自宅整理・遺品整理から、遺品の買取、不動産の売却までを1つの窓口でお受けしています。代表は遺品整理士の資格を持ち、古物商許可も取得しています。
相続登記の準備と並行して実家の片付けを進めておけば、登記が終わったときに、すぐ売り出せる状態にできます。片付けの際には、権利証(登記済証)、固定資産税の納税通知書、購入時の売買契約書など、相続登記や売却で使う書類を仕分けながら進められます。
実家が葛飾区や松戸市など、お住まいから離れた場所にある場合でも、訪問・電話・メールでのご相談に対応しています。
よくある質問
相続登記は、売買の決済日に一緒に申請できますか?
実務では、相続登記と買主への所有権移転登記を、決済日に続けて申請する方法がとられることもあります。ただし、相続登記に必要な書類が決済日までにすべてそろっていることが前提です。書類の不足で登記ができないと、引き渡しが遅れるおそれがあるため、通常は相続登記を先に済ませておくほうが安心です。
遺言書があれば、遺産分割をしなくても売れますか?
遺言書で不動産を受け継ぐ人が決まっていれば、遺産分割協議をしなくても、その人の名義に相続登記をして売ることができます。遺言書の内容や種類によって必要な手続きが変わるため、まずは遺言書の内容を確認しましょう。
相続人の1人が売却に反対している場合は、どうなりますか?
共有名義のままでは、共有者全員が合意しないと不動産全体を売ることはできません。話し合いで解決しない場合は、家庭裁判所の遺産分割調停を利用する方法があります。反対の理由が価格への不満であれば、査定の根拠を全員で共有することで、話が進むこともあります。
相続した不動産の名義変更と売却は、三敬商事株式会社にご相談ください
三敬商事株式会社は、足立区中川を拠点に、不動産の売買・仲介・査定と、相続に関するご相談をお受けしている地域密着の不動産会社です。
対応エリア:東京都(足立区・葛飾区)、埼玉県(三郷市・八潮市・草加市)、千葉県(松戸市・柏市・流山市)、茨城県(つくば市・土浦市・守谷市)
- 相続無料相談(顧問契約先の専門家と連携して、相続・税金のご相談にも対応)
- 無料査定の段階で、売却に必要な費用・資金・書類をご説明
- 自宅整理・遺品整理、遺品の買取から不動産の売却まで1つの窓口で対応
- 物件の囲い込みはせず、無理な営業はいたしません
「名義が親のままだけど、売れるのか」「何から始めればいいのか」という段階でも、ご相談ください。手続きの順番から丁寧にご説明し、ご自身の家・資産を売るつもりで一緒に考えます。公式サイトのお問い合わせ・ご予約フォームまたはLINEから、お気軽にご連絡ください。
三敬商事株式会社
- 所在地:〒120-0002 東京都足立区中川3-7-6(JR「亀有駅」より徒歩12分)
- 電話:03-5682-5557/フリーダイヤル 0120-918-641
- 営業時間:店頭10:00〜17:00(水曜定休)、オンライン9:00〜21:00(年中無休)
- ご相談:予約制にて365日24時間対応
- 宅地建物取引業者免許:東京都知事(2)第103226号
参考・出典
- 法務省「相続登記の申請義務化について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00599.html
- 法務省「相続人申告登記について」 https://www.moj.go.jp/MINJI/minji05_00602.html
- 法務省「登記申請手続のご案内(相続登記②/法定相続編)」 https://www.moj.go.jp/content/001436490.pdf
- 国税庁 質疑応答事例「未分割遺産を換価したことによる譲渡所得の申告とその後分割が確定したことによる更正の請求、修正申告等」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/joto/09/01.htm
- 裁判所「相続の放棄の申述」 https://www.courts.go.jp/saiban/syurui/syurui_kazi/kazi_06_13/index.html
