2026/11/01
管理不全空家とは、適切に管理されておらず、そのまま放置すれば倒壊などの危険がある「特定空家」になるおそれのある空き家のことです。2023年の空家法改正でできた区分で、市区町村から指導を受けても改善せず「勧告」を受けると、土地の固定資産税を軽くする住宅用地特例が受けられなくなり、税負担が大きく増えるおそれがあります。
この記事では、管理不全空家と特定空家の違い、固定資産税が上がる条件と流れ、相続した空き家が管理不全空家にならないためにやるべきことを、足立区中川で不動産の売買・相続相談をお受けしている三敬商事株式会社が解説します。
管理不全空家とは、どんな空き家?
管理不全空家は、法律上「適切な管理が行われていないことによりそのまま放置すれば特定空家等に該当することとなるおそれのある空家等」とされています。いわば「特定空家の予備軍」で、市区町村が指導や勧告の対象にできるようになりました(国土交通省)。
もともと空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)では、周囲に著しい悪影響を及ぼす空き家を「特定空家」として、市区町村が指導・勧告・命令などを行う仕組みがありました。しかし、特定空家になるほど状態が悪化してからでは、対応が難しくなります。そこで、その手前の段階から所有者に管理を促せるよう、2023年の改正で管理不全空家の区分が設けられました。
管理不全空家と特定空家の違いは、次のとおりです。
| 区分 | 状態 | 市区町村の主な措置 |
|---|---|---|
| 管理不全空家 | 放置すれば特定空家になるおそれがある | 指導 → 勧告 |
| 特定空家 | 倒壊など保安上の危険、衛生上の有害性、景観の悪化などが著しい | 助言・指導 → 勧告 → 命令 → 行政代執行 |
どちらも、勧告を受けると住宅用地特例の対象から外れる点は同じです。
どんな状態だと、管理不全空家になる?
具体的な判断は市区町村が行いますが、屋根や外壁の傷み、草木の繁茂、ごみの放置など、手入れがされていないことが外から分かる状態が目安になります。放置すると、台風や地震のときの被害や、衛生面・防犯面の問題につながるためです。
政府広報オンラインでは、空き家を放置したときに起こる問題として、次のような例を挙げています。
- 台風で外装材や屋根材が飛散する、地震で倒壊する
- ねずみや害虫が大量に発生する、ごみが散乱する
- 外壁が破損したり、汚れたりする
- 腐敗したごみから悪臭が出る
- 不法侵入者が出入りし、治安が悪くなる
- 立木の枝がはみ出し、周囲の建物を傷つける
こうした問題は、短い期間で急に起こるわけではありません。誰も住まない家は湿気がこもりやすく、雨漏りや設備の傷みに気づくのも遅れがちです。相続した直後はきれいな状態でも、数年放置するうちに管理不全空家にあたる状態へ進んでしまうことがあります。
空き家を放置したときのリスク全体と、「売る・貸す・持ち続ける」の判断基準は、次の記事で解説しています。
▶︎関連記事:相続した空き家は売るべきか|放置で生じるリスクと売却までの手順
管理不全空家になると、固定資産税はどうなる?
管理不全空家として市区町村から勧告を受けると、その土地は住宅用地特例の対象から外れます。この特例で軽くなっていた土地の固定資産税の課税標準が元に戻るため、税負担が大きく増えるおそれがあります。
住宅用地特例の内容は、次のとおりです(国土交通省)。
| 区分 | 固定資産税の課税標準 |
|---|---|
| 小規模住宅用地(200㎡以下の部分) | 6分の1に減額 |
| 一般住宅用地(200㎡を超える部分) | 3分の1に減額 |
ポイントは、指導を受けた段階ではまだ特例は外れず、指導しても改善されずに「勧告」を受けた段階で外れることです。指導の段階で管理や修繕を行えば、勧告や特例の解除を避けられる可能性があります。
固定資産税は、毎年1月1日時点の状況をもとに課税されます(地方税法第359条)。勧告を受けたまま年をまたぐと、その年度からの固定資産税に影響するため、市区町村から連絡や指導があった場合は、早めに対応することが大切です。
なお、総務省の通知では、居住のために必要な管理を怠っているなどで、今後人が住む見込みがないと認められる家屋は、そもそも特例の対象となる「住宅」にあたらないとされています(国土交通省資料)。勧告を受けていなくても、管理の状態によっては特例が外れることがある点に注意が必要です。
特定空家になると、どんな措置を受ける?
特定空家として勧告を受けても改善しないと、市区町村から改善の「命令」を受けます。命令に従わない場合は50万円以下の過料の対象になるほか、行政が所有者に代わって取り壊しなどを行う「行政代執行」が行われ、その費用は所有者に請求されます(政府広報オンライン)。
2023年の改正では、台風などの災害で危険が迫っている場合など、緊急に除却などが必要な特定空家について、命令などの手続きを経ずに代執行ができるようになりました。所有者が気づかないうちに行政が対応し、あとから費用を請求されるおそれもあります。
管理不全空家の段階であれば、まだ「指導」と「勧告」までです。特定空家に進む前に対応することで、過料や代執行といった重い措置を避けられます。
相続した空き家が管理不全空家にならないために、何をすればいい?
最も確実なのは、使う予定がないなら早めに「売る」「貸す」「解体する」などの方針を決めることです。方針が決まるまでの間は、定期的に通風・清掃・草木の手入れなどを行い、適切に管理しましょう。
政府広報オンラインでも、将来使う予定がない場合は早めに方針を決めること、決めるまでの間は適切に管理することが大切だとしています。具体的には、次のような対応があります。
- 定期的に管理する:窓を開けて換気し、雨漏りや設備の傷みがないか確認します。郵便物の整理、庭木の剪定や草刈りも必要です。
- 管理を委託する:遠方に住んでいて通えない場合は、見回りや報告をしてくれる空き家の管理代行サービスを利用する方法があります。
- 売却を検討する:住む予定も貸す予定もないなら、売却すれば管理の負担と固定資産税の負担がなくなります。
- 市区町村に相談する:空き家のある市区町村の窓口では、管理や活用の相談を受け付けています。市区町村が指定する「空家等管理活用支援法人」から、情報提供や支援を受けられる場合もあります。
相続した実家が足立区や葛飾区、三郷市や松戸市など、お住まいから離れた場所にある場合、通って管理を続けるのは簡単ではありません。管理の手間と費用が続くことも踏まえて、いつまで持ち続けるのかを家族で話し合っておきましょう。
管理不全空家にならないうちに売ると、税金面でメリットはある?
相続した空き家は、条件を満たせば「空き家の3,000万円特別控除」を使って、売却益にかかる税金を軽くできる可能性があります。ただし、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売ることなどが条件のため、放置している間に期限を過ぎないよう注意が必要です。
空き家の特例は、亡くなった方が1人で住んでいた1981年5月31日以前に建てられた家などが対象で、制度自体は2027年12月31日までの売却が対象です(国税庁 No.3306、2026年10月時点)。使える条件と使えないケースは、次の記事で解説しています。
▶︎関連記事:相続した空き家の3,000万円特別控除|使える条件と使えないケース
一方で、建物を取り壊して更地にすると、管理の手間は減りますが、住宅用地特例がなくなり土地の固定資産税は上がります。解体するか、古家付きのまま売るか、不動産会社の買取にするかは、売れる見込みの時期とあわせて判断しましょう。
家財が残った空き家でも、管理や売却の相談はできる?
ご相談いただけます。当社では、自宅整理・遺品整理から、遺品の買取、不動産の売却までを1つの窓口でお受けしています。代表は遺品整理士の資格を持ち、古物商許可も取得しています。
空き家の管理が行き届かなくなる理由の1つが、「家の中に家財が残っていて、手をつけられない」ことです。家財が多いと、換気や清掃もしにくく、傷みに気づくのも遅れます。
片付けと売却を1つの窓口にまとめれば、売り出しの時期に合わせて片付けの段取りを組めます。ご近所に知られずに売りたい、まずは査定額だけ知りたい、といったご要望にも配慮します。
よくある質問
管理不全空家に指定されると、すぐに固定資産税が上がりますか?
指導を受けた段階では、まだ住宅用地特例は外れません。指導しても改善されず、勧告を受けた段階で特例の対象から外れます。固定資産税は毎年1月1日時点の状況で課税されるため、勧告のタイミングによって、どの年度から税額が変わるかが決まります。
遠方に住んでいて、空き家の状態を確認できません。どうすればいいですか?
空き家の管理代行サービスを利用すれば、見回りや報告を受けられます。あわせて、売るか持ち続けるかの方針も早めに決めておくと安心です。当社では、ご来店のほか、ご自宅への訪問、電話、メールでのご相談に対応しています。
相続放棄をすれば、空き家の管理をしなくてよくなりますか?
相続放棄をしても、放棄した時点でその空き家を現に占有している場合は、次の相続人などに引き渡すまで、その空き家を保存する義務があります(民法第940条)。相続放棄は、相続が始まったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申し立てる必要があるため、迷っている場合は早めに専門家へ相談しましょう。
相続した空き家の管理や売却は、三敬商事株式会社にご相談ください
三敬商事株式会社は、足立区中川を拠点に、不動産の売買・仲介・査定と、相続に関するご相談をお受けしている地域密着の不動産会社です。
対応エリア:東京都(足立区・葛飾区)、埼玉県(三郷市・八潮市・草加市)、千葉県(松戸市・柏市・流山市)、茨城県(つくば市・土浦市・守谷市)
- 相続無料相談(顧問契約先の専門家と連携して、相続・税金のご相談にも対応)
- 自宅整理・遺品整理、遺品の買取から不動産の売却まで1つの窓口で対応
- 仲介・買取の両方に対応。他社で断られた物件のご相談も可能
- 物件の囲い込みはせず、無理な営業はいたしません
遠方にある実家の空き家の管理や売却に悩んでいる方のご相談にも対応しています。ご自身の家・資産を売るつもりで、片付けから売却まで一緒に考えます。公式サイトのお問い合わせ・ご予約フォームまたはLINEから、お気軽にご連絡ください。
三敬商事株式会社
- 所在地:〒120-0002 東京都足立区中川3-7-6(JR「亀有駅」より徒歩12分)
- 電話:03-5682-5557/フリーダイヤル 0120-918-641
- 営業時間:店頭10:00〜17:00(水曜定休)、オンライン9:00〜21:00(年中無休)
- ご相談:予約制にて365日24時間対応
- 宅地建物取引業者免許:東京都知事(2)第103226号
参考・出典
- 国土交通省 空き家対策特設サイト「空家法とは」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/akiya-taisaku/articles/2024020105.html
- 国土交通省「固定資産税等の住宅用地特例に係る空き家対策上の措置」 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/002019834.pdf
- 政府広報オンライン「空き家の活用や適切な管理などに向けた対策が強化。トラブルになる前に対応を!」 https://www.gov-online.go.jp/article/202403/entry-5949.html
- 国税庁「No.3306 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/joto/3306.htm
- e-Gov法令検索「地方税法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/325AC0000000226
- e-Gov法令検索「民法」 https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089
